大切な方を亡くされた悲しみの中で、「葬儀費用が払えない」という現実的な問題に直面される方は、実は少なくありません。「突然のことで準備ができていない」「年金暮らしで十分な蓄えがない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、ご安心ください。堺市には様々な公的支援制度があり、また費用を抑えながらも心のこもった葬儀を行う方法もたくさんあります。今回は、そんな皆様のお力になれるよう、具体的で実用的な情報をお伝えいたします。

葬儀費用が払えない時にまず知っておくべきこと

堺市での葬儀費用の現実的な相場

「葬儀にはいくらかかるの？」これは、多くのご遺族が最初に抱かれる疑問です。堺市における葬儀費用の実際の相場をご紹介いたします。

最もシンプルな直葬（火葬式）の場合、20万円から40万円程度となります。これは通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う形式です。一方、家族や親しい方だけで行う家族葬では60万円から120万円、従来通りの一般的な葬儀では100万円から200万円程度が相場となっています。

これらの費用には、葬儀社への支払い、式場使用料、火葬料金、お花代、飲食費などが含まれますが、選択するプランや内容によって大きく変動します。大切なのは、故人様やご家族にとって最適な形を見つけることです。

【あわせて読みたい】

「葬儀代が払えない」という悩みを一人で抱えないで

経済的な理由で葬儀を諦めようとされる方がいらっしゃいます。でも、どうか一人でお悩みにならないでください。特に高齢化社会の進展や経済状況の変化により、このようなご相談は決して珍しいことではありません。

むしろ、多くの自治体や葬儀社が、そうした状況にある方々をサポートする体制を整えています。私たち葬儀社も、ご遺族の経済状況を考慮しながら、最適なプランをご提案することが使命だと考えています。

慌てずに対処するための心構え

大切な方を亡くされた直後は、悲しみと同時に様々な手続きに追われ、冷静な判断が難しくなるものです。そんな時だからこそ、まずは深呼吸をして、利用可能な制度や選択肢があることを思い出してください。

情報収集を行い、早めに専門機関に相談することで、必ず解決の道筋が見えてきます。一つの方法にこだわらず、複数の選択肢を検討することも重要です。何より大切なのは、故人様を心を込めてお送りすることであり、それは必ずしも高額な費用をかけることではありません。

堺市で利用できる心強い公的支援制度

生活保護受給者のための「葬祭扶助」制度

生活保護を受給されている方、または故人が生活保護を受けていた場合には、「葬祭扶助」という制度を利用することができます。この制度は、経済的に困窮している方でも尊厳を持って故人をお送りできるよう設けられた、社会保障制度です。

対象となるのは、現在生活保護を受給されている方、生活保護受給者の葬儀を行う方、そして資力がなく葬儀を行えない方（要審査）です。支援内容には、火葬料金、骨壷代、運搬費用、その他必要最低限の費用が含まれます。

申請は、堺市の生活援護管理課（電話：072-228-7411）または各区の保健福祉総合センターで受け付けています。必要書類を提出し、審査を経て支給が決定されます。手続きには時間がかかる場合もありますので、できるだけ早めにご相談されることをお勧めします。

市役所の福祉課で受けられるサポート

堺市では、葬祭扶助制度の詳細説明はもちろん、その他の支援制度のご紹介、地域の社会資源に関する情報提供（地域包括支援センター）、生活困窮者自立支援制度のご案内（地域共生推進課）など、幅広いサポートを受けることができます。

窓口の職員の方々は、こうした状況に慣れていらっしゃるので、恥ずかしがったり遠慮したりする必要はありません。むしろ、早めにご相談いただくことで、より多くの選択肢をご提案できる場合があります。

知っておきたいその他の補助金制度

国民健康保険や健康保険に加入されていた方には、葬祭費や埋葬料として5万円が支給される制度があります。国民健康保険加入者の場合は「葬祭費」として、健康保険加入者の場合は「埋葬料」として支給されます。申請期限は死亡日から2年以内となっていますので、手続きをお忘れないようにしましょう。

また、業務上の事故や疾病による死亡の場合には、労災保険から葬祭料として315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた金額が支給されます。これらの制度は、葬儀費用の一部を賄う大切な資金源となります。

心を込めて送る、費用を抑えた葬儀の選択肢

直葬（火葬式）という新しい形のお別れ

近年、注目を集めているのが「直葬」または「火葬式」と呼ばれる葬儀形式です。これは、通夜や告別式を行わず、ご遺体を火葬場に直接お送りする方法です。

費用は20万円から40万円程度と、従来の葬儀と比べて大幅に抑えることができます。所要時間も半日程度で、病院からの搬送、必要な安置期間（法律で24時間以上と定められています）、火葬場での手続き、基本的な棺や骨壷などが含まれます。

「簡素すぎるのでは？」と心配される方もいらっしゃいますが、火葬場でお別れの時間を持つことができ、故人様への想いを込めてお送りすることに変わりはありません。実際に、この形式を選ばれたご遺族からは「静かで穏やかなお別れができた」という感想をいただくことも多いのです。

一日葬・家族葬で大切な人だけのお別れ

通夜を省略し、告別式のみを行う「一日葬」は、費用を40万円から80万円程度に抑えながらも、きちんとしたお別れの儀式を行うことができる選択肢です。参列者は家族や親族のみに限定することが多く、アットホームな雰囲気の中で故人を偲ぶことができます。

「家族葬」は、少人数で行う葬儀の総称で、費用は60万円から120万円程度となります。近年特に、「身内だけで静かに送りたい」というご希望が増えており、故人様の人柄や生前のお人柄を大切にした、心温まる葬儀を行うことができます。

これらの葬儀形式の良さは、費用を抑えられることはもちろんですが、参列者に気を遣うことなく、本当に大切な時間を故人様と過ごせることにあります。

式場選びで知っておきたいポイント

葬儀費用を抑える上で重要なのが式場選びです。民営の式場に比べて、公営斎場を利用すると費用を削減できます。堺市にも公営の斎場「堺市立斎場」があり、市民の方は火葬料金など優遇料金で利用することができます。

葬儀社を選ぶ際には、料金体系が明確で追加費用についてもきちんと説明してくれるかどうかを確認してください。地域での実績と信頼性、スタッフの対応の丁寧さ、アフターサービスの充実度なども重要なポイントです。また会員制度の活用で、式場使用料金やプラン料金などが大幅に割引されることもあります。

無理のない支払い方法で心の負担を軽減

故人様の生命保険や預金を活用する方法

故人様が生命保険などに加入していて、保険金を受け取れる場合には、その金額を確認しておきましょう。また、「預貯金の仮払い制度」を利用することで、故人様の預金から捻出する方法もあります。通常は、故人様の口座の預金も相続対象のため自由に引き出すことはできなくなります。しかし、「死亡時点での預貯金残高×法定相続分（相続人の取り分）×３分の１」または「150万円」を上限として、預金の仮払いを受けることができます。金融機関ごとに上限が適応されるため、複数の金融機関で手続きをする場合には、総額が150万円を超えるケースもあります。ただし、金融機関によって手続きが異なりますので、事前に確認されることをお勧めします。

【あわせて読みたい】

家族・親族での費用分担という現実的な選択

葬儀費用を一人で負担するのは難しい場合でも、相続人や親族の皆様で分担することで解決できる場合があります。分担方法としては、相続割合に応じた分担、支払い能力に応じた分担、項目別の分担（お花代、食事代など）などがあります。

大切なのは、事前に親族間でよく話し合い、合意を得ることです。後々のトラブルを避けるため、誰がどの部分を負担するのかを書面に残しておくことも重要です。支払い責任の所在を明確にしておくことで、安心して葬儀を執り行うことができます。

分割払いやローンという選択肢

葬儀社の中には、分割払いに対応しているところもあります。手数料や金利については事前に確認が必要ですが、まとまった金額を用意するのが困難な場合には有効な選択肢です。支払い期間と月々の負担額についても、無理のない範囲で相談することができます。

また、銀行や信用金庫では「メモリアルローン」という専用の商品を取り扱っているところもあります。金利は年2％から7％程度で、審査期間は数日から1週間程度です。葬儀後の生活に支障をきたさない範囲での利用を心がけることが大切です。

事前相談がもたらす安心感

葬儀について事前に相談しておくことで、正確な費用の把握、支払い方法の相談、希望に応じたプランの提案を受けることができ、心理的な負担も大幅に軽減されます。

見積もりを確認する際には、基本プランに何が含まれているのか、オプションサービスと追加費用はどのくらいか、支払い時期とタイミング、キャンセル料の有無と金額などを詳しく確認することが重要です。

困った時に頼れる相談窓口

堺市役所と地域包括支援センターの心強いサポート

堺市役所の生活援護管理課（電話：072-228-7411）では、平日9時から17時30分まで相談を受け付けています。各区の保健福祉総合センターでも同様の相談が可能です。

地域包括支援センターは、特に高齢者の生活全般に関する相談を受け付けており、地域の社会資源に関する豊富な情報を持っています。他機関との連携支援も行っているので、総合的なサポートを受けることができます。

堺市内の各区には以下の地域包括支援センターがあります。堺区（072-228-8224）、中区（072-270-8104）、東区（072-287-8822）、西区（072-275-1911）、南区（072-295-8227）、北区（072-258-6666）、美原区（072-363-9313）です。

葬儀社への直接相談がもたらすメリット

葬儀社に直接相談することで、豊富な経験に基づく専門的なアドバイスを受けることができます。地域の慣習や制度に詳しく、具体的で実用的な解決策を提示してもらえます。

また、支払い方法の相談やプラン内容の調整など、柔軟な対応を受けることができるのも大きなメリットです。緊急時には迅速な対応も期待できます。経験豊富な葬儀社であれば、様々な状況に対する解決策を持っているものです。

まとめ｜必ず見つかる解決の道

葬儀費用の支払いに困った場合でも、決してあきらめる必要はありません。生活保護の葬祭扶助制度、国民健康保険や健康保険の葬祭費・埋葬料、労災保険の葬祭料など、様々な公的支援制度が用意されています。

また、直葬（火葬式）、一日葬・家族葬、公営斎場の利用など、費用を抑えながらも心のこもった葬儀を行う方法もたくさんあります。故人様の保険金や預金の活用、親族間での分担、分割払いやローンの利用など、支払い方法を工夫することで負担を軽減することも可能です。

そして何より大切なのは、堺市役所や地域包括支援センター、葬儀社への直接相談、専門プランナーへの相談など、多くの相談窓口があることを知っておくことです。

皆様にお伝えしたいのは、「一人で悩まずに、まず相談してください」ということです。どんなに困難な状況でも、必ず解決の道はあります。故人様を心を込めて送ることは、決して高額な費用をかけることではありません。

大切なのは、故人様への愛情と感謝の気持ちです。それさえあれば、どのような形の葬儀であっても、きっと故人様にも喜んでいただけることでしょう。

困った時は、遠慮なくご相談ください。皆様が安心して故人様をお送りできるよう、私たち株式会社セレモニー真希社も精一杯サポートさせていただきます。事前相談や式場見学などのご予約、スタッフ一同お待ちしております。