「知らなかった…」では済まないことが、お葬式にはあります。
服装・お香典の包み方・焼香の順番・SNSへの投稿——日常ではなかなか学ぶ機会のないことばかりです。葬儀の現場で長年働いてきたスタッフとして、「実際によく見かけるNG行動」を正直にお伝えします。
恥をかく前に、大切な人の顔に泥を塗る前に、ぜひ一度読んでみてください。
マナーは「完璧にこなすもの」ではなく、「故人と遺族への敬意を形にするもの」です。知っているだけで、あなたの誠実さが伝わります。
TOP 10 発表
お葬式は「故人を悼む場」であり、自分を飾る場ではありません。キラキラ光るネックレス、派手なブローチ、カラフルなスカーフは場の空気を壊してしまいます。パールのネックレスは「涙の象徴」として唯一許容されますが、二連・三連はNGです。
NG:結婚指輪以外のリングを複数つけて参列。光るバックルのベルトを使用。
OK:アクセサリーは結婚指輪・一連パールのみ。バッグも黒の布製を選ぶ。
「新札を用意していた=死を予期して準備していた」と受け取られるため、お葬式では新札を使うのはマナー違反とされています。結婚式とは逆です。ここで混乱する方がとても多いので要注意。
NG:ATMから引き出したばかりのピン札をそのまま封筒に入れた。
OK:一度折り目をつけるか、あえて少し使用感のあるお札を選ぶ。どうしても新札しかない場合は、一折りだけ入れれば問題ない。
「御霊前」「御仏前」「御香典」——似ているようで、使い分けがあります。特に多いのが、浄土真宗に「御霊前」を使うミスです。浄土真宗では「亡くなった瞬間に成仏する」という考えのため、「霊」という概念がなく、「御仏前」を使います。宗派を確認してから書きましょう。
NG:宗派を確認せず「御霊前」と書いてしまった。表書きを薄墨ではなく濃い墨で書いた。
OK:宗派が不明なら「御香典」が最も無難。表書きは薄墨で書くのが正式。
焼香のやり方は宗派によって異なります。何回抹香(まっこう)をつまむか、額に押し頂くかどうか——実は細かく違います。一般的な作法は「1〜3回つまんで炭に落とす」ですが、何も知らずに前の人のまねをしようとして戸惑われる方も少なくありません。
NG:前の人と全然違うことをしてしまい、焦ってやり直した。回数を気にしすぎて長時間ステージに立ち止まった。
OK:宗派が分からない場合は1回で十分。丁寧にゆっくりやることの方が大切。
お葬式の場では避けるべき言葉があります。「重ね重ね」「再び」「またまた」などの繰り返し言葉は不幸が重なることを連想させるためNGです。また「死ぬ」「生きていたころ」も直接的すぎるとして避けられます。
NG:「重ね重ねお悔やみ申し上げます」「またいつかお会いしましょう」「生きていたころの〇〇さんは…」
OK:「このたびはご愁傷様でございます」「〇〇様がご存命のころは…」
励ましのつもりで言いがちですが、大切な人を失ったばかりの方に「頑張れ」という言葉は、時として重荷になります。すでに精一杯頑張っている方に、さらに「頑張れ」と言うことの残酷さ——言った本人は気づかないことが多いです。
NG:「大変だったね、これから頑張ってください」「しっかりしなきゃだめですよ」
OK:「何かお力になれることがあれば、遠慮なく言ってください」「そばにいます」など、寄り添う言葉を選ぶ。
近年、特に増えているトラブルです。葬儀の様子・祭壇・会場・故人の写真をSNSに投稿することは、遺族のプライバシーを侵害する行為です。また、「家族葬で知らせていなかった人」に情報が漏れ、トラブルになるケースも多発しています。
NG:祭壇を「きれいな祭壇だった」とInstagramに投稿。故人との思い出をFacebookでシェア(遺族に無断で)。
OK:投稿したい場合は必ず喪主・ご遺族の許可を得る。基本的には控えるのが礼儀。
「喪服を持っていないから」と普段着のワンピースで参列してしまうケースがあります。また、黒ければどのような物でもいいわけではなく、露出が多いものや光沢のある素材はNGです。お子様の服装も、制服があれば制服が最善です。昨今では家族だけの葬儀が増え、割と自由な服装で参列されることが増えました。しかし、知識としてマナーを知っておく必要もあるでしょう。
NG:黒のミニスカートで参列。光沢感のある黒いサテン素材のブラウスを着用。子どもにカラフルな私服を着せた。
OK:女性は膝下丈のスカートまたはパンツスーツ。肌の露出を抑え、光沢のない素材を選ぶ。子どもは制服か、白・黒・グレーの落ち着いた服装。
食事の場で「箸から箸へ料理を渡す」のがNGとされている理由、ご存知ですか?実はこれ、火葬後に骨を拾う「骨上げ」の作法に由来しているからです。葬儀の儀式と食事の場を重ねることへの忌避感から生まれたマナーです。日常でも注意しましょう。
NG:骨上げのとき、やり方が分からず、一人で骨をつまんで骨壺に入れた。
OK:骨上げは必ず二人一組で、一緒に一つの骨をはさんで骨壺へ。葬儀スタッフが案内してくれるので、指示に従えばOK。
現場で最も多く、そして最も深く遺族を傷つけるのがこれです。「どんな病気だったの?」「急だったの?」「最後はどんな様子だった?」——悪意はなく、純粋な心配からくる言葉だと分かっています。でも、まだ悲しみの渦中にいる遺族にとって、それを何度も繰り返し答えることは、大きな精神的負担になります。
NG:「どこが悪かったの?」「入院してたの?なんで教えてくれなかったの?」「保険はおりるの?」
OK:「このたびは突然のことで…」と一言だけ。詳細を知りたい気持ちは、落ち着いた頃に改めて。遺族が話してくれるまで待つことが、最大の思いやり。
まとめ:10のNG行動 一覧表
| 順位 |
NG行動 |
カテゴリ |
| 10位 |
光るアクセサリーをつけていく |
服装 |
| 9位 |
香典を新札で包む |
香典 |
| 8位 |
香典袋の表書きを間違える |
香典 |
| 7位 |
焼香を自己流でやる |
作法 |
| 6位 |
忌み言葉を使ってしまう |
言動 |
| 5位 |
遺族に「頑張ってください」と言う |
言動 |
| 4位 |
SNSに写真・投稿をアップする |
SNS |
| 3位 |
露出が多い・派手な服で参列 |
服装 |
| 2位 |
骨上げを一人でやってしまう |
作法 |
| 1位 |
死因や状況を根掘り葉掘り聞く |
言動 |
💡 堺市・大阪エリアならではの注意点
大阪・泉州エリアでは、仏教の宗派として浄土真宗が多い地域です。「御霊前」ではなく「御仏前」を使うケースが多いので、特に表書きには注意しましょう。迷ったら「御香典」が最も無難です。
最後に
「知らなかった」は誰にでもあること。大切なのは、知ろうとする姿勢です。
お葬式のマナーは、難しいルールの暗記ではありません。根本にあるのは、「故人を悼む気持ち」と「遺族を気遣う心」です。その気持ちがあれば、多少の作法の違いは、温かく受け入れてもらえます。
完璧なマナーより、誠実な心を。
「あの人が来てくれてよかった」と思ってもらえることが、最高の弔いです。